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ネット銀行の相続手続きは、通帳やカードが手元にないため、ご家族が口座の存在に気づきにくいのが大きな特徴です。この記事では、故人のネット銀行口座の探し方と、相続手続きの流れ、必要書類を、やさしく見ていきます。2025年4月に始まった「まとめて照会できる新しい制度」もあわせてご紹介します。あわてなくて大丈夫です。
まず知っておきたい:通帳がないから見つけにくい

ネット銀行には、紙の通帳やキャッシュカードがない場合が多いです。そのため、ご本人が亡くなったあと、ご家族が「どこの銀行に口座があるか」を知る手がかりが少なくなります。ここが一番のつまずきどころです。
手がかりになるのは、スマホやパソコンの銀行アプリ、メールに届く取引の通知などです。故人のスマホが確認できると、見つかることがあります。
口座の探し方:手がかりは4つ
あせらず、順番に見ていきましょう。探す場所を表にまとめました。
| 探す場所 | 見るポイント |
|---|---|
| スマホ・パソコン | 銀行アプリの有無。ホーム画面だけでなく、フォルダの中も確認 |
| メール | 「◯◯銀行」「入出金」「明細」などの言葉で受信箱を検索 |
| 郵便物 | 取引報告書や、キャンペーンの案内はがき |
| クレジットカード明細 | 引き落とし口座の銀行名を確認 |
ここまでできたら、ひと息ついて大丈夫です。それでも分からないときは、次の新しい制度が使えるかもしれません。
2025年4月開始:まとめて照会できる新制度
2025年4月から「相続時預貯金口座照会」という制度が始まりました。相続人が金融機関の窓口から申し込むと、預金保険機構(よきんほけんきこう。国の認可法人)が、故人名義の口座がどの金融機関にあるかをまとめて調べ、結果を郵送で知らせてくれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申し込める人 | 相続人・遺言執行者など |
| 申込先 | この制度を扱う金融機関の窓口 |
| 手数料 | 1回5,060円(税込・2026年8月時点) |
| 主な必要書類 | 亡くなった事実が分かる戸籍など・相続人であることが分かる書類・本人確認書類 |
| 注意点 | 調べられるのは、故人がマイナンバーを届け出ていた口座が中心 |
1つ気をつけたい点があります。この制度で見つかるのは、生前にマイナンバー(個人番号)を金融機関へ届け出ていた口座が中心とされています。届け出ていない口座は対象外になるため、先ほどの4つの手がかりと組み合わせて探すのが現実的です。
参考:預金保険機構「相続時預貯金口座照会利用規定」
相続手続きの大まかな流れ
口座が見つかったら、その銀行へ連絡します。ネット銀行は原則、郵送でのやり取りになります。連絡の窓口は電話やWebフォームなど、銀行ごとに違います。
| 順番 | すること |
|---|---|
| 1 | 銀行へ死亡の連絡をする(この時点で口座は凍結されます) |
| 2 | 銀行から手続きの案内書類が届く |
| 3 | 相続人が必要書類をそろえて郵送する |
| 4 | 銀行の確認後、預金が代表相続人の口座などへ払い戻される |
凍結後もあわてない:一部を払い戻せる制度
「凍結されると、葬儀の費用も出せないの?」と不安に思うかもしれません。ここも大丈夫です。2019年7月から、遺産分割の前でも、各相続人が単独で預金の一部を払い戻せる制度があります。
払い戻せる額は、一般的には「相続開始時の預金残高×3分の1×その相続人の法定相続分」とされ、1つの金融機関につき150万円が上限です。たとえば残高600万円を配偶者(法定相続分2分の1)が払い戻す場合、600万円×3分の1×2分の1=100万円が目安になります。実際の可否や手続きは銀行ごとに違うため、案内にしたがって進めてください。
参考:全国銀行協会「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」
主な必要書類
一般的には、次のような書類が必要とされています。遺言書の有無で変わります。銀行や相続の状況によっても違うため、正確には各行の案内でご確認ください。
| 場合 | 主な書類 |
|---|---|
| 遺言書がない(遺産分割協議書あり) | 故人の出生から死亡までの連続した戸籍/相続人全員の戸籍・印鑑証明書/遺産分割協議書 |
| 遺言書がある | 故人の死亡が確認できる戸籍/預金を相続する人(遺言執行者がいる場合はその人)の印鑑証明書など |
印鑑証明書は「取得後6か月以内」を目安にする銀行が多いです。取り寄せの順番に気をつけると、二度手間を防げます。
戸籍の束の代わりに、法務局が発行する「法定相続情報一覧図の写し」を使える場合もあります。一度作れば写しは何枚でも無料で交付されるため、複数の銀行で手続きするときに便利です。
相続の手続きや税金には、法律や税務がかかわります。ここでご紹介した内容も一般的なものです。個別のケースは、司法書士や税理士などの専門家にご相談ください。
参考:全国銀行協会「預金相続の手続に必要な書類」/法務局「法定相続情報証明制度」
今からできる、いちばんの備え
ご家族が困らないために、いちばん効くのは「どこに口座があるか」を書き残しておくことです。むずかしく考えなくて大丈夫です。銀行名と、おおよその用途だけでも十分に助けになります。エンディングノートの1ページに書いておきましょう。パスワードそのものを書く必要はありません。
あわせて読みたい:エンディングノートの書き方|最初の1ページに書く3つのこと/デジタル終活のやり方|今日から始める最初の3歩
よくある質問
Q1. 死亡を銀行へ連絡すると、口座はすぐ使えなくなりますか?
一般的には、連絡した時点で口座は凍結され、引き出しや引き落としが止まるとされています。公共料金などの引き落とし口座になっている場合は、支払い方法の変更を先に整理しておくと安心です。
Q2. 故人のネット銀行のパスワードが分かりません。手続きできますか?
できます。相続手続きは、パスワードやアプリへのログインではなく、戸籍などの書類で進めます。分からなくても、銀行への連絡から始めれば大丈夫です。
Q3. 口座がどこにも見つからないときは、どうすればいいですか?
2025年4月に始まった相続時預貯金口座照会で、まとめて調べられる場合があります。対象はマイナンバーを届け出ていた口座が中心のため、心当たりの銀行へ個別に照会する方法との併用が現実的です。迷ったら専門家にご相談ください。
相続の手続き、あとで家族が困らないために
→ 相続の無料相談【相続アシスト】
個別のケースは専門家に相談を。
今日のチェックリスト
| □ 故人(またはご自身)のスマホに銀行アプリがないか確認する |
| □ 口座のある銀行名をエンディングノートに書き出す |
| □ 手続きで迷ったら早めに専門家へ相談する |


