認知症の親のお金、相談窓口はどこ?3つの入口

親の終活サポート

9月は「認知症月間」です。親のお金のことで気になりつつ、どこに相談すればいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。この記事では、相談先を「まず動ける順」に3つ紹介します。

9月は認知症月間、9月21日は認知症の日

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イメージ(AI生成)

2024年1月に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」により、9月が「認知症月間」、9月21日が「認知症の日」と定められました。国や自治体が啓発イベントを行う期間ですが、家族にとっては「そろそろ親のお金のことも考えておこうか」と話すきっかけにしやすい時期でもあります。あわてなくて大丈夫です。今日からできることを、順番に見ていきます。

参考:政府広報オンライン「認知症月間」

相談する前に、親にどう切り出すか

「お金の話をすると、責められていると感じさせてしまうのでは」と身構える方もいると思います。認知症基本法には、本人の意思を尊重するという考え方が盛り込まれています。まずは「これから先も安心して暮らせるように、一緒に確認しておきたい」という言い方から始めると、伝わりやすくなります。

いきなり通帳や資産の話から入るのではなく、「最近、どこの窓口に相談できるか調べてみたんだけど」と、調べたことを共有するところから始めるのも一つの方法です。無理に結論を急がず、何回かに分けて話す前提でいると、親子ともに気持ちが楽になります。

1つ目の窓口:地域包括支援センター

お金の相談を含め、高齢者のことで迷ったら最初に頼れるのが「地域包括支援センター」です。市区町村が設置する総合相談窓口で、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーといった専門職が対応してくれます。介護のことはもちろん、お金の管理や将来への不安まで、幅広く相談にのってもらえます。

「まだ介護が必要なわけではないから」とためらう方もいますが、判断能力が下がる前の早い段階で相談することにも意味があります。ここ、迷いやすいところですが、困りごとが具体的になっていなくても相談してかまいません。お住まいの市区町村のホームページで「地域包括支援センター」と検索すると、担当エリアの窓口が見つかります。

2つ目の窓口:金融機関の代理人届・代理人カード

親名義の口座から、必要なお金を家族が代わりに引き出せるようにしておく方法です。多くの金融機関では、口座名義人本人が窓口へ出向き、代理人となる家族と一緒に手続きをします。本人確認書類・通帳・届出印などが必要です。

ここで気をつけておきたいのは、この手続きは本人の判断能力があるうちにしかできないという点です。認知症の症状が進んでからでは、新規の代理人登録は原則として受け付けてもらえません。一部の金融機関では、判断能力が低下した後に医師の診断書を提出することでサービスが始まる「予約型」の代理人登録制度も用意されていますが、内容は金融機関ごとに異なります。利用しているすべての金融機関に、早めに問い合わせて確認しておくのが確実です。

3つ目の窓口:家族信託・任意後見(専門家への相談)

代理人届でカバーできるのは、日常的な入出金の範囲までのことが多いです。不動産の管理や、まとまった資産の運用まで見据える場合は、「家族信託」や「任意後見」といった制度を検討する家庭もあります。

これらは契約の内容や設計次第で、できることや費用が大きく変わります。一般的には、家族信託や任意後見の利用は司法書士や弁護士など専門家に相談したうえで進めるとされています。制度の仕組みは、以前の記事「家族信託とは?認知症に備える3つの方法」でも紹介しています。あわせてご覧ください。

3つの窓口を比べてみる

相談先 できること できないこと・注意点 費用の目安
地域包括支援センター お金・介護・生活全般の相談、専門機関への橋渡し 口座の入出金や契約の代行そのものはできない 相談は無料
金融機関の代理人届・代理人カード 家族が本人に代わって入出金できる 判断能力が下がった後の新規登録は原則不可。内容は金融機関ごとに異なる 金融機関により異なる(無料〜手数料あり)
家族信託・任意後見 不動産管理や資産運用まで含めて備えられる 契約設計に専門知識が必要。個別のケースは専門家へ相談を 専門家への相談・契約費用が発生

参考:各制度の一般的な仕組みをもとに作成。費用・取り扱いは金融機関・専門家により異なるため、個別に確認してください。

すでに口座が凍結されている場合

「相談しようと思ったら、すでに口座が動かせなくなっていた」というケースもあります。その場合の対応は、以前の記事「親が認知症になると口座は凍結される?その前にできる備え」で詳しく取り上げています。

また、相談や手続きをきょうだいの誰が担当するかで迷う家庭も少なくありません。分担の決め方は「親の介護、きょうだいの分担どう決める?もめない話し合い方」も参考にしてください。

よくある質問

Q. 地域包括支援センターに相談すると、費用はかかりますか?
相談自体は無料です。ここから必要に応じて、医療機関や弁護士・司法書士など専門の窓口を紹介してもらえます。

Q. 代理人カードを作れば、認知症になっても口座を使い続けられますか?
一般的には、代理人登録は本人の判断能力があるうちに行う必要があるとされています。判断能力が下がった後も使える「予約型」の制度を用意している金融機関もあるため、早めに確認しておくと安心です。個別の取り扱いは各金融機関にご確認ください。

Q. 家族信託や任意後見は、どちらから検討すればよいですか?
本人の判断能力がまだしっかりしている段階なら家族信託、すでに判断能力が下がり始めている場合は法定後見・任意後見が主な選択肢になります。どちらが合うかは資産の内容や家族構成によって異なるため、一般的には司法書士や弁護士など専門家への相談が勧められています。

まとめ:今日できる3つのこと

認知症月間のこの機会に、次の3つを確認しておきましょう。

チェック項目 内容
1. 相談窓口を調べる お住まいの市区町村の地域包括支援センターを検索しておく
2. 金融機関に確認する 親が使っている金融機関に、代理人制度の有無と条件を問い合わせる
3. 専門家への相談を検討する 資産の内容が複雑な場合は、司法書士・弁護士への相談も選択肢に入れる

どれも今日中に全部終わらせる必要はありません。まずは1つ、調べてみることから始めれば大丈夫です。