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成年後見制度が大きく変わります。今の「後見」「保佐」「補助」という3段階の仕組みをやめて、「補助」の制度ひとつにまとめる法律が、すでに成立・公布されました。ただし、実際にいつから新しい制度になるかは、まだ決まっていません。ここでは、法務省の資料をもとに、変わる中身と、今の時点でわかっていること・わかっていないことを分けて整理します。
成年後見制度の改正で何が変わるのか|3段階から「補助」1本へ
今の成年後見制度は、本人の判断能力の程度によって、使える制度が「後見」「保佐」「補助」の3つに決まっています。判断能力が「欠ける常況」と認定されると、後見人が包括的に代理・取消しをする「後見」しか選べません。本人の意思をどこまで尊重するかを細かく調整しにくい、という指摘がありました。ここ、迷いやすいところです。
改正後は、この3段階をやめて「補助」の制度に一元化します。本人に必要な事項だけ、代理権や取消権を個別に付ける形になります。判断能力を欠く常況にある人については、法定の重要な財産行為をまとめて取り消せる「特定補助」という仕組みを選べるようにする、という手当てもあります。あわてなくて大丈夫です。名前が変わるだけでなく、必要な範囲だけ支援を受けるという考え方に転換する改正です。
| 今の制度 | 改正後 | |
|---|---|---|
| 制度の数 | 後見・保佐・補助の3つ | 補助の1つに一元化 |
| 判断能力を欠く常況の人 | 後見(包括的な代理・取消し) | 補助+特定補助(法定の重要財産行為を取消し可能)を選択 |
| 支援の内容 | 制度ごとに範囲が法律で画一的に決まる | 本人ごとに必要な行為だけ個別に決める |
| 利用のやめ方 | 判断能力が回復しない限り終了できない | 必要がなくなれば家庭裁判所の判断で終了できる |
参考:法務省「『民法等の一部を改正する法律』(成年後見及び遺言の制度の見直し)について」/法務省民事局「成年後見制度に関する制度改正の状況について」(令和8年7月)
このほかにも、補助人を選ぶときに本人の意見を重視すること、補助人が本人の意向をきちんと聴き取る義務があること、本人の死亡後に葬儀の契約や未払金の支払いといった事務を補助人が行えるようにすることなど、いくつかの見直しが同時に行われます。細かい制度設計はまだ運用が始まっていないため、実際の手続きの流れは今後の情報を待つ必要があります。
成年後見制度の改正はいつから?施行日はまだ決まっていません
「民法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第45号)は、令和8年(2026年)6月17日に成立し、6月24日に公布されました。ここまでは事実として決まっています。一方で、実際に制度が切り替わる日(施行日)は、法律の中で「公布の日から起算して2年6か月を超えない範囲内において、政令で定める日」とされているだけです。つまり、上限は決まっていますが、具体的な日付は今の時点(2026年9月)ではまだ発表されていません。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 令和6年2月 | 法務大臣が法制審議会に諮問 |
| 令和8年2月 | 法制審議会が要綱をとりまとめ、法務大臣に答申 |
| 令和8年4月 | 法律案を閣議決定 |
| 令和8年6月17日 | 参議院本会議で可決・成立 |
| 令和8年6月24日 | 公布 |
| 未定(上限:公布から2年6か月以内) | 施行(政令で今後定められる) |
参考:法務省「『民法等の一部を改正する法律』(成年後見及び遺言の制度の見直し)について」/法務省民事局「成年後見制度に関する制度改正の状況について」(令和8年7月)
「もう始まっている」と早合点して行動する必要はありません。逆に、施行までまだ時間があるからといって、今の制度の情報収集を後回しにしなくてもよいと思います。政令が出るタイミングは、家庭裁判所や法務省のホームページで案内されるはずなので、今の段階では「まだ先の話」として気長に構えておくくらいでちょうどよいはずです。
今すでに制度を使っている家族はどうなるか
気になるのは、今すでに後見や保佐を利用している家族がどうなるかだと思います。法務省の資料によると、施行後は現在の後見・保佐の開始審判はいったん取り消され、次のどちらかを選べる経過措置が用意される見通しです。
ひとつ目は、新しい補助の制度に移行する申立てをする方法。本人や配偶者、四親等内の親族、今の後見人・保佐人などが申立てできるとされています。ふたつ目は、後見・保佐開始の審判そのものを取り消す申立てをする方法です。すでに「補助」を利用している場合は、大きな変更なくそのまま利用を続けられる見通しです。
ここは制度の根幹に関わる部分なので、一般的な情報としてお伝えしていますが、ご家族の状況によって扱いが変わることがあります。個別の判断は、家庭裁判所や司法書士・弁護士など専門家にご相談ください。
成年後見制度の施行を待つ間にできる備え
制度の名前や仕組みが変わっても、「親の判断能力が下がる前に何を決めておくか」という土台は今までと変わりません。すでに判断能力が下がってから使う法定後見のほかにも、選択肢はあります。元気なうちに自分で後見人を決めておく任意後見契約や、財産の管理方法を家族内で決めておく家族信託です。あわせて知っておくと、いざというときに慌てずにすみます。
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よくある質問
Q. 今、後見人がついている家族はどうなりますか?
施行後は、現在利用中の後見・保佐の開始審判はいったん取り消される見通しです。新しい「補助」の制度に移行する申立てをするか、審判の取消しを申立てるか選べます。すでに「補助」を利用している場合は、基本的にそのまま利用を続けられます。個別の対応は家庭裁判所や専門家にご確認ください。
Q. 施行日はいつ決まりますか?
2026年9月時点では、まだ決まっていません。法律では、公布日(2026年6月24日)から2年6か月を超えない範囲内で、政令によって定めることとされています。今後の政令の公布を待つ必要があります。
まとめ
成年後見制度は、「後見・保佐・補助」の3段階から「補助」1本にまとまる方向で、法律はすでに成立・公布されています。一方で、実際に制度が切り替わる施行日はまだ決まっていません。今すぐ何かをする必要はありませんが、家族の状況に合わせて情報を追っておくと安心です。
最後に、今日から確認しておきたいことを3つにまとめます。
| 確認すること | ポイント |
|---|---|
| 今の制度状況の把握 | 家族が後見・保佐・補助のどれを使っているか、使っていないかを確認する |
| 施行日の情報源 | 法務省・家庭裁判所の発表を定期的に確認する(今の時点で未定) |
| 元気なうちの選択肢 | 任意後見契約や家族信託も含め、専門家に相談しながら検討する |

