エンディングノートの保管場所と家族への伝え方

エンディングノート

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先に答えです。エンディングノートは、①盗み見られにくく、②いざというとき家族がすぐ見つけられる場所に置き、③存在と場所を口頭で家族に伝えておく。この3つがそろって初めて役に立ちます。書いただけで引き出しの奥にしまい込むと、結局誰にも気づかれないまま何年も眠ってしまうことがあります。

保管場所は「見つけやすさ」と「安全さ」のバランスで選ぶ

エンディングノートの保管場所と家族への伝え方のイメージイラスト
イメージ(AI生成)

エンディングノートの保管場所には、実は相反する2つの条件があります。人目につかない安全な場所ほど、いざというとき家族が見つけにくくなるという点です。あわてなくて大丈夫です。完璧な場所を探すより、「家族が知っている場所」であることを優先しましょう。

よく候補にあがる場所を、見つけやすさと安全さの両面で並べてみます。ここは迷いやすいところです。

保管場所 見つけやすさ 安全さ 気をつけたいこと
寝室・書斎の引き出し 来客の目に触れない引き出しを選ぶ。中身にパスワードそのものを書かない
自宅用の小型金庫 暗証番号や鍵の場所を家族の誰かに伝えておく。伝え忘れると開けられません
仏壇まわり・神棚 家族が自然に目を向ける場所。湿気や線香の煙で傷みやすい点だけ注意
健康保険証・診察券と同じ場所 入院時に家族が必ず触る場所。ノート本体でなく「置き場所メモ」を入れる形でも十分
銀行の貸金庫 × 亡くなった後に開けるまで手続きに時間がかかりやすく、急いで見てほしい書類の置き場所には向きません
子ども世帯の家に預ける 本人が書き足したいときに手元にない。原本は自宅、コピーを預ける形が現実的

迷ったら、家の中で「家族が一年に何度も開ける場所」を思い浮かべてみてください。そこが一番の候補です。

保管場所を決める3つの手順

順番に進めれば、30分ほどで決まります。ここまでできたら休憩してかまいません。

手順 やること 目安の時間
1 候補を2つに絞る(上の表から、家族がよく触る場所を選ぶ) 10分
2 ノートの表紙に名前と日付を書き、封筒や透明ケースに入れる 10分
3 信頼できる家族1〜2人に、場所を口頭で伝える 10分

2の「日付」は意外と大事です。何年も経ってから見つかったとき、いつ書いたものかが分かるだけで家族の判断が楽になります。

「どこにあるか」を家族に口頭で伝えておく

ノートの中身は、家族が見ることを前提に書くものです。書き終えたら、信頼できる家族1〜2人に「何かあったらあの引き出しを見てね」と直接伝えておきましょう。ここだけ押さえておけば大丈夫です。

切り出し方に迷う方も多いところです。重い話にしないための言い方を並べておきます。

タイミング 言い方の例
お盆・年末年始の集まり 「片づけのついでにノートを1冊作ったの。寝室の右の引き出しに入れてあるからね」
入院・手術の前 「保険証と一緒に、必要なことを書いたノートを入れてあります」
引っ越し・同居のとき 「新しい家では、この棚に移したよ」
電話やLINEで軽く 「そういえば、あのノート、場所は前のままだからね」

健康保険証と一緒に保管場所を書いたメモを入れておくのも、外出先で体調を崩したときに見つけてもらいやすい方法のひとつです。

保管場所は一度決めたら終わりではありません

引っ越しや同居家族が変わったタイミングでは、保管場所も一緒に見直しましょう。伝えていた家族と離れて暮らすようになった場合は、新しく身近にいる家族にも共有しておくと安心です。

年に1回、お盆や年末の集まりなど決まったタイミングで「あの場所は変わっていないよ」と一言確認し合うだけでも十分です。無理に毎回中身まで見直す必要はありません。

よくある失敗と、その直し方

同じつまずき方をする方が多いところです。先に知っておけば避けられます。

よくある失敗 どうなるか 直し方
金庫にしまい、暗証番号を誰にも伝えていない 家族が開けられない 番号を書いたメモを別の場所に置き、その場所だけ伝える
貸金庫に入れた 開けるまでに時間がかかる 原本は自宅に置き、貸金庫は権利証など急がない書類に使う
パソコンやスマホの中だけに保存 パスワードが分からず開けない 紙に印刷したものも一緒に残す
家族の誰にも伝えていない 存在に気づかれない 1〜2人でよいので、今日のうちに口頭で伝える
財産の分け方をノートだけに書いた そのままでは法的な効力がない 分け方を確実にしたい部分は遺言書を検討する

エンディングノートと遺言書は別物と知っておく

エンディングノート自体には、法的な効力がありません。財産の分け方を確実に実現したい場合は、別途、法的な効力を持つ遺言書を用意する必要があります。一般的には、この2つは役割が異なるものとされています。個別のケースは専門家にご相談ください。

項目 エンディングノート 自筆証書遺言(法務局に預ける場合)
法的な効力 なし あり(形式の要件を満たした場合)
書ける内容 連絡先、医療の希望、思い出など自由 主に財産の分け方など
保管場所 自分で決める 法務局(遺言書保管所)
家庭裁判所の検認 不要とされています
費用 ノート代のみ 保管の申請1件につき3,900円

自筆で書いた遺言書は、法務省の「自筆証書遺言書保管制度」を使うと、法務局(遺言書保管所)で保管してもらえます。かかるお金の目安は次のとおりです。

手続き 手数料 いつ使うか
遺言書の保管の申請 1件につき3,900円 本人が預けるとき
遺言書の閲覧(モニター) 1回につき1,400円 内容を画面で確認するとき
遺言書の閲覧(原本) 1回につき1,700円 原本を見たいとき
遺言書情報証明書の交付 1通につき1,400円 相続の手続きで証明が要るとき
遺言書保管事実証明書の交付 1通につき800円 預けられているかを確かめるとき

※法務省の手数料一覧(2026年8月時点)より。手続きの詳細や必要書類は、お住まいの地域の遺言書保管所にご確認ください。

なお2026年6月に成立した民法などの改正で、自筆証書遺言の押印を不要とする見直しが決まりました。一般的には、この部分は公布から1年以内に施行されるとされています。ただし施行日より前に書いた遺言書には、これまでどおり押印が必要とされています。今から書くなら、署名と押印はそろえておくのが安心です。制度の適用時期など個別の判断は専門家にご相談ください。

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まとめ

エンディングノートは、保管場所と伝え方まで含めて初めて意味を持ちます。難しく考えず、まずは家族に「ここにあるよ」と一言伝えることから始めてみましょう。今からで大丈夫です。

  • 盗難に強く、かつ家族が見つけやすい場所を選んだか
  • 信頼できる家族1〜2人に保管場所を口頭で伝えたか
  • 財産の分配を確実にしたい部分は、別途遺言書の準備を検討したか

よくある質問

Q. エンディングノートはデジタルデータだけで残してもいい?
A. 一般的には、紙に印刷したものも合わせて残す方法がすすめられています。データだけだと、パスワードが分からず開けないことがあるためです。

Q. 銀行の貸金庫に保管してもいい?
A. 契約者本人が亡くなった後は開けるための手続きに時間がかかることが多く、急いで見てほしい書類の保管場所としてはあまり向きません。

Q. 家族に伝えるタイミングはいつがいい?
A. お盆や年末年始など、家族が集まる機会を使うと自然に切り出せます。あわてる必要はありません。

Q. 遺言書も同じ場所に置いていい?
A. 自宅で保管する場合は同じ場所でもかまいませんが、法務局の保管制度を使えば紛失の心配が減ります。保管の申請にかかる手数料は1件につき3,900円です。

Q. コピーを子どもに渡しておくのはどうですか?
A. 保管場所を伝える代わりになる方法のひとつです。ただし内容を書き直したときは、コピーも差し替えないと古い情報が残ってしまいます。

あわせて読みたい:エンディングノートの書き方|最初の1ページに書く3つのことエンディングノートのパスワードの安全な残し方|そのまま書かない

参考:法務省「自筆証書遺言書保管制度|09 手数料」/法務省「民法等の一部を改正する法律(令和8年法律第45号)」