デジタル終活のやり方|今日から始める最初の3歩

デジタル終活

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デジタル終活のやり方が知りたい。そう思ってこのページを開いた方も多いと思います。スマホやパソコンの中の情報を、あとに残る家族のために整えておく。それがデジタル終活です。むずかしそうに聞こえますが、今からで大丈夫です。

この記事では、今日のうちに終わる「最初の3歩」を見ていきます。全部を一度にやる必要はありません。

なぜ今、デジタル終活が必要なのか

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イメージ(AI生成)

総務省の令和6年通信利用動向調査(令和7年5月30日公表)によると、スマートフォンを持つ世帯の割合は90.5%、個人でも80.5%にのぼります。インターネットを使う人の割合は13〜69歳の各年齢層で9割を上回りました。

60代が一番よく使うのは「電子メールの送受信」(84.8%)、次いで「検索」(79.5%)です。連絡も買い物も、スマホの中で完結する時代になりました。その分、亡くなったあとにデータや契約が残る場面も増えています。

国民生活センターは2024年11月20日、「デジタル終活」についての注意喚起を出しています。そこで紹介された相談事例には、次のようなものがありました。

故人のネット銀行の手続きをしたいが、スマホが開けず契約先がわからない。故人が契約したサブスク(月額課金のサービス)を止めたいが、IDとパスワードがわからない。コード決済の相続手続きが1か月以上たっても終わらない。

同センターは、本人のスマホのパスワードがわからないと、第三者がロックを解除するのは困難だと説明しています。また、サブスクは解約手続きをしない限り課金が続いてしまう、とも書かれています。

こわい話に聞こえたかもしれません。でも裏を返せば、パスワードとサービス名さえ伝わっていれば、多くのトラブルは起きないということです。ここだけ押さえておけば大丈夫です。

家族が困る場面と、その備えを並べると、やることの少なさが見えてきます。

家族が困る場面 原因 今日できる備え
スマホが開けない ロック解除の番号がわからない 1歩目:紙に書いて保管
どこに口座があるかわからない 通帳のないネット銀行・証券 2歩目:サービス名を書き出す
サブスクの課金が止まらない ID・パスワードが不明 2歩目:サービス名とIDを書き出す
写真やメールを引き継げない 本人しかアクセスできない 3歩目:もしもの設定を1つ

参考:国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」(2024年11月20日公表)/総務省「令和6年通信利用動向調査の結果」(令和7年5月30日公表)

最初の1歩:スマホのパスワードを紙に書く

デジタル終活の出発点は、ここです。スマホとパソコンのロックを解除する番号やパスワードを、紙に書いておきます。意外に思うかもしれませんが、家族が困る一番の理由は、この1枚がないことです。

書いたら、通帳や実印と同じ場所にしまいます。そして「もしものときは、ここを見てほしい」と、家族にひとことだけ伝えておきます。中身まで見せる必要はありません。

保管場所は、悩みやすいところです。それぞれの向き・不向きをまとめました。

保管場所 家族の見つけやすさ 気をつける点
通帳・実印と同じ引き出し 見つけやすい 置き場所を家族に伝えておく
エンディングノートにはさむ 見つけやすい ノート自体の置き場所を伝える
自宅の金庫 ふつう 金庫の鍵・番号も別に伝えておく
スマホのメモ帳 ほぼ不可 スマホが開けなければ読めない。本末転倒になりやすい

紙に書くのは不安、と感じる方もいます。全部を1枚に書かず、「スマホのロック番号」だけを書いた紙を1枚作る、という始め方でも十分です。

ここまでできたら、ひと休みしてください。これだけでも、大きな1歩です。

2歩目:お金がかかっているサービスを書き出す

次は、毎月お金が引き落とされているサービスを書き出します。ネット銀行、証券口座、動画や音楽のサブスク、通信販売の定期購入、スマホの決済アプリ。

全部を思い出そうとしなくて大丈夫です。まずはクレジットカードの明細を1か月分ながめてみてください。知らない名前があれば、それがサービス名です。

探す場所は、だいたい次の4つに絞れます。

探す場所 見つかりやすいもの ひとこと
クレジットカードの明細 サブスク・定期購入・通販 まずはここから。1か月分で十分
銀行口座の引き落とし履歴 通信費・保険・公共料金 毎月同じ金額の引き落としが目印
スマホのホーム画面 決済アプリ・ネット銀行・証券 アプリが入っている=契約がある
メールの受信箱を「領収」で検索 忘れていた月額サービス 年払いのものはここで見つかりやすい

書き出すのは「サービス名」と「ID」の2つ。パスワードは、1歩目で作った紙と同じ場所に置きます。国民生活センターも、サービス名・ID・パスワードを整理しておくことと、エンディングノートの活用を勧めています。

「サービス名/ID/支払い方法」の3列を紙に並べるだけで十分です。金額は「だいたい」で構いません。家族が見たときに「ここに連絡すればいいんだ」とわかることが目的です。

書き方に迷ったら、エンディングノートの書き方|最初の1ページに書く3つのこともあわせてご覧ください。

自分ひとりで整理しきれないと感じたら、専門のサービスに相談する方法もあります。デジタル終活の無料相談【デジ・タクセル】のように、まず話を聞いてもらえる窓口もあります。

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3歩目:アカウントの「もしもの設定」を1つだけ

いま使っているサービスには、本人が亡くなったあとの扱いをあらかじめ決められる機能を備えたものがあります。国民生活センターも、アカウントにアクセスできる人を指名できるサービスの利用を勧めています。代表的な2つを比べてみます。どちらか片方だけで大丈夫です。

項目 Google(アカウント無効化管理ツール) Apple(故人アカウント管理連絡先)
できること 一定期間使われないと、指定した人にデータや通知が届く 亡くなったあと、指定した人がデータの一部を引き継げる
指定できる人数 最大10人 1人以上(複数を指定できる)
始まるきっかけ 設定した期間、アカウントが使われないこと 指定した人からの申請
家族に必要なもの Googleから届くメールと本人確認(電話番号) アクセスキーと、日本では死亡の記載がある戸籍
設定する場所 Googleアカウントの設定ページ iPhone・iPad・Macの「設定」→名前→サインインとセキュリティ

いちばん取りかかりやすいのは、メールや写真をまとめて預けている方が多いGoogleアカウントです。設定は10分ほどで終わります。手順はGoogleアカウントの死後設定を10分で|無効化管理ツールにまとめました。

なお、Googleは「2年以上使われなかったアカウントとそのデータを削除する権限がある」と説明しています。設定をしておけば、その前に家族へ知らせが届く、という仕組みです。

iPhoneをお使いなら、Appleの「故人アカウント管理連絡先」も同じくらい簡単です。アクセスキーは印刷して、1歩目の紙と一緒に置いておくと確実です。

3歩目まで進んだら、今日はもう十分です。残りはまた別の日に。あわてなくて大丈夫です。

参考:Google アカウント ヘルプ「アカウント無効化管理ツールについて」/Apple サポート「How to add a Legacy Contact for your Apple Account」(2026年4月2日更新)

やらなくていいこと、気をつけたいこと

デジタル終活は、完璧を目指すとかえって進みません。最初のうちは、次の線引きで十分です。

SNSの投稿を全部消す、使っていないアカウントを1つずつ解約する、写真を全部整理する。どれも今すぐでなくて構いません。お金がかかっていないものは、急ぎではないからです。

逆に、気をつけたい点を2つだけ挙げておきます。

1つは、書いた紙をスマホで撮影して保存しないこと。スマホが開けないときに使えませんし、端末をなくしたときの心配も増えます。

もう1つは、パスワードそのものを家族にメールやSNSで送らないことです。国民生活センターも、詐欺やなりすましへの注意を呼びかけています。伝えるのは「置き場所」だけで十分です。

よくある質問

Q. パスワードを紙に書くのは危なくないですか。
A. 保管場所を選べば、実用的な方法です。通帳や実印と同じ引き出しなど、家族が知っていて他人が触れない場所にしまいます。心配なら、まずはスマホのロック番号1つだけを書くところから始めてください。

Q. エンディングノートを買わないと始められませんか。
A. 必要ありません。紙1枚とペンがあれば今日から始められます。市販のノートは、項目が並んでいて書き漏らしを防げる点が便利です。使いやすいほうを選んで大丈夫です。

Q. 家族に見られたくない情報があります。どうすればよいですか。
A. 書き出すのは「サービス名」と「ID」だけで構いません。中身を見せる必要はありません。封筒に入れて封をしておき、「もしものときに開けてほしい」と伝える方法もあります。

Q. 親のスマホのパスワードを、今のうちに聞いておくべきですか。
A. 無理に聞き出す必要はありません。「番号を書いた紙をどこかに置いておいてね」と伝えるだけで、目的は果たせます。親の終活の切り出し方に迷うときは、実家の親に終活を切り出す言い方の実例5つも参考になります。

今日のチェックリスト

今日できることは、この3つだけです。

1. スマホとパソコンのパスワードを紙に書き、家族に置き場所を伝えた
2. 毎月お金がかかっているサービス名とIDを書き出した
3. Googleアカウントなど、1つだけ「もしもの設定」をした

なお、預金や証券などの財産の分け方、相続の手続きについては、一般的には個々の事情によって扱いが変わるとされています。判断に迷う場面では、弁護士・司法書士・税理士などの専門家にご相談ください。

参考:国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」(2024年11月20日公表)/総務省「令和6年通信利用動向調査の結果」/Google アカウント ヘルプ/Apple サポート