遺影の生前撮影という言葉を聞いたことはありますか。元気なうちに、自分の遺影用の写真を撮っておくことです。「まだ早いのでは」と感じるかもしれません。でも、これは死の準備ではありません。「今の自分のいちばん良い顔を残す」前向きな取り組みです。この記事では、撮る理由から服装の選び方、撮ったあとの残し方まで順番に見ていきます。(更新日:2026年8月13日)
先に結論:遺影は元気なうちに撮るのが安心です

結論からお伝えします。遺影の写真は、元気なうちに撮っておくのがおすすめです。理由は3つあります。①時間をかけて、いちばん良い表情を残せること。②万一のとき、家族が写真探しで慌てずに済むこと。③写真を撮ること自体が、気持ちの整理につながること。あわてなくて大丈夫です。今日は最初の一歩だけ、一緒に考えていきましょう。
元気なうちに撮る3つの理由を整理します
3つの理由を、少しくわしく表にしました。ここだけ押さえておけば大丈夫です。
| 理由 | どういうこと | 得られること |
|---|---|---|
| ①良い表情が残せる | 時間の余裕があるので、何枚も撮って選べる | 納得のいく1枚になりやすい |
| ②家族が慌てない | 写真を探す作業と選ぶ判断が、あらかじめ済んでいる | お別れの数日間の負担が軽くなる |
| ③気持ちの整理になる | 「どんな顔を残したいか」を考える時間ができる | 終活のほかの準備にも取りかかりやすい |
とくに②は見落とされがちです。急なお別れのとき、家族は数日のうちに写真を探すことになります。手元にあるのは旅行や集合写真のスナップが中心です。小さく写った顔を大きく引き伸ばすと、どうしても画質が粗くなります。「もっと良い写真があったはずなのに」と悔やまれる方は少なくありません。事前に1枚あるだけで、家族の負担は大きく減ります。
生前撮影の進め方は4ステップです
やることは多くありません。順番はこうなります。
| 手順 | やること | 目安の時間 |
|---|---|---|
| 1 | 写真館を選び、「遺影にも使いたい」と伝えて予約する | 電話やWebで10分ほど |
| 2 | 服装を決める。迷うなら2着持っていく | 前日までに |
| 3 | 撮影。会話をしながら数カットずつ撮ってもらう | 30分〜1時間ほど |
| 4 | 写真を選び、プリントとデータを受け取る | その場、または後日 |
ここまでできたら休憩しましょう。1と2だけでも、今日の一歩としては十分です。予約のときに「遺影に使う可能性がある」と伝えておくのが大事なポイントです。背景やサイズを、あとで使いやすい形にしてもらえます。
服装と表情、背景の選び方を見ていきます
ここは写真撮影の一般的な実務から、具体的にお伝えします。正解は1つではありません。迷いやすいところなので、選び方の目安を表にしました。
| 項目 | 選び方の目安 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 服装 | お気に入りの普段着でよい。かしこまった服も、趣味の服も選ばれる | 細かい柄は、大きく伸ばすとちらつくことがある |
| 色 | 明るい色を選ぶ方も増えている | 背景と同系色だと、輪郭がぼやけて見えることがある |
| 表情 | 少し口角を上げるくらいが自然 | 無理に笑おうとしなくてよい。会話をしながら撮るとやわらぐ |
| 背景 | 無地に近いものが、あとで加工しやすい傾向 | 好みの風景で撮る場合は、上半身が大きく写るカットも1枚残す |
| 小物・眼鏡 | 普段かけている眼鏡は、かけたままでよい | 反射が出ることがあるので、外した写真も撮っておくと安心 |
ご本人らしさが伝わるかどうかが、いちばん大切な基準です。趣味の道具を持って撮る方もいます。迷ったら写真館で相談すれば、一緒に決められます。
写真のサイズとデータは「大きめ」で残しましょう
あとから困らないためのコツが、サイズです。遺影に使われるプリントの寸法は、おおよそ次のとおりです。
| 呼び方 | 寸法(およそ) | 主な使いどころ |
|---|---|---|
| 四つ切 | 254×305mm | 祭壇に飾る大きめのサイズとして使われる |
| A4 | 210×297mm | 四つ切に近い大きさとして選ばれることがある |
| 2L判 | 127×178mm | 手元に置く小さめのサイズ |
| L判 | 89×127mm | 普段の保管・持ち歩き用 |
※寸法は一般的な写真プリント規格の目安です。用意するサイズや額は地域・葬儀の形式によって考え方が異なるため、必要になったときに葬儀を担う方へ確認してください。特定の形式が良い・悪いということはありません。
データは、できるだけ大きなサイズ(高い解像度)のまま残しておくと安心です。スマホに送ってもらったデータは、小さく圧縮されている場合があります。元のデータもあわせて受け取り、パソコンや外付けの記録メディアなど2か所以上に保管しておくと安全です。
費用は「何にいくらか」を先に確認します
費用は写真館やプランによって幅があり、一概には言えません。金額そのものより、内訳を確認しておくほうが役に立ちます。予約のときに次の4点を聞いておきましょう。
| 確認すること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 撮影料 | 「撮影料はいくらですか。何カット撮ってもらえますか」 |
| プリント代 | 「プリントは何枚含まれますか。追加は1枚いくらですか」 |
| データ代 | 「撮影データはもらえますか。別料金ですか」 |
| 保管期間 | 「データは何年ほど預かってもらえますか」 |
データを受け取れるかどうかは、あとの使い勝手に大きく関わります。ここは遠慮せず聞いて大丈夫です。
撮ったあとは「写真のありか」を家族に伝えましょう
意外に大切なのが、撮ったあとです。せっかくの写真も、家族が見つけられなければ使えません。プリントとデータの保管場所を決めて、家族に伝えておきましょう。エンディングノート(もしものときの希望を書き留めるノート)に書いておくと確実です。書き方はエンディングノートの書き方の記事で紹介しています。スマホやパソコンのデータの整理はデジタル終活のやり方もあわせてどうぞ。
よくある質問
Q. 何歳くらいで撮るのがよいですか?
A. 決まった年齢はありません。還暦や古希などの節目や、お孫さんの行事に合わせて撮る方が多い印象です。大切なのは「元気で、残したい顔でいるうち」に撮ること。思い立ったときが、いちばん良いタイミングです。
Q. 一度撮ったら、撮り直しはできませんか?
A. 何度でも撮り直せます。数年ごとに撮り直して、「今の自分らしい1枚」を更新していく方もいます。前に撮った写真が無駄になることはありません。家族の記念写真として、そのまま残せます。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
A. 写真館やプランによって幅があり、一概には言えません。撮影料のほか、プリントやデータの料金がかかる場合もあります。「遺影用に使いたい」と伝えたうえで、撮影料・プリント代・データ代・保管期間の4点を事前に確認しておくと安心です。
Q. 家族と一緒に写った写真でもよいですか?
A. 一緒に撮ってかまいません。そのうえで、ご本人だけが大きく写ったカットも1枚残しておくと使いやすくなります。家族写真とご本人の写真を、同じ日にまとめて撮る方もいます。
Q. スマホで撮った写真でも足りますか?
A. 明るい場所で、上半身が大きく写っていれば使える場合もあります。ただし小さく写った顔を引き伸ばすと画質が粗くなりやすいです。今あるスマホの写真を確認しておき、心配なら改めて撮る、という順番でよいでしょう。
今日のチェックリスト
・遺影に使えそうな写真が今あるか、確認してみましょう
・撮るなら「いつ・どんな服で」か、候補を1つ考えてみましょう
・写真のありかを、エンディングノートや家族へのメモに残しましょう
参考:一般的な写真撮影の実務/一般的な写真プリント規格(四つ切・A4・2L判・L判の寸法)
画像:Pixabay


