遺影写真の服装と表情は、どう選べばよいのでしょうか。近ごろは黒い喪服にこだわらず、その人らしい装いや、やわらかな表情を選ぶ方が増えています。元気なうちに撮る「生前撮影」を前提に、服装と表情の選び方をやさしくお伝えします。あわせて、サイズやデータの残し方といった実務のめやすも見ていきます。今からで大丈夫です。あわてず読んでみてください。
服装は「その人らしさ」でよい

ひと昔前は、遺影といえば黒い礼服が定番でした。今は少し変わってきています。普段よく着ていた色の服。お気に入りのジャケット。明るい色のブラウス。そうした「その人らしい一着」を選ぶ方が増えました。遺影の服装に、決まりがあるわけではないのです。
選ぶときのめやすを表にまとめます。ここだけ押さえておけば大丈夫です。
| 見るところ | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 色 | 顔まわりが明るく見える色 | 表情がやわらかく写ります |
| 柄 | 無地か、無地に近いもの | 顔に視線が集まります |
| えりもと | えりのある服、またはすっきりした首もと | 姿勢がきれいに見えます |
| 避けたいもの | 細かすぎるしま模様・光りすぎる素材 | 写真で模様がちらついたり、反射したりします |
もちろん、礼服がよいという方は礼服で構いません。大切なのは、ご本人が心地よく着られることです。迷ったら、着慣れた服を2〜3着持って行き、撮影の場で相談するのもよい方法です。
表情は「自然な笑顔」が残りやすい
表情も、かしこまりすぎなくてよいのです。少し口もとがゆるむくらいの、自然な笑顔。ご家族があとで見たときに「この人らしいね」と思える顔が、いちばん長く心に残ります。
とはいえ、いざカメラの前に立つと、緊張してしまうものです。ここ、みなさん同じです。撮影の場では、好きな話や思い出話をしながら、ふっと力が抜けた瞬間を写します。無理に笑わなくて大丈夫です。真顔で凛(りん)とした一枚も、その方らしければ立派な遺影になります。
元気なうちに撮る「生前撮影」のよさ
遺影は、あわてて用意すると、ピントの合っていない写真や、集合写真を切り抜いた1枚になりがちです。元気なうちに撮っておくと、ちがいます。あわてて探す場合と、生前撮影の場合を比べてみます。
| 比べるところ | あわてて写真を探す場合 | 生前撮影の場合 |
|---|---|---|
| 写真の質 | スナップの切り抜きで、ピントや明るさが不十分なことも | 撮影者がピント・明るさを整えて撮ります |
| 服装・表情 | 写っていたものから選ぶしかありません | ご本人が事前に選べます |
| 家族の負担 | 短い期間で写真探しに追われがちです | 探す負担がありません |
| 気持ちの面 | ゆっくり選ぶ余裕がありません | 「今のいちばん良い顔」を残す前向きな時間になります |
生前撮影(生きているうちに遺影を撮っておくこと)は、死の準備というより、今の自分を大切にする時間です。誕生日や長寿のお祝いに合わせて撮る方もいます。
背景・小物・メガネはどうする
細かい点も、少しだけ触れておきます。背景は、青やグレーなど落ち着いた色が定番です。明るめの色を選ぶと、やわらかい印象になります。かしこまった雰囲気にしたいなら、濃いめの色も合います。
ふだんメガネをかけている方は、かけたままで構いません。そのほうが「その人らしい」からです。光が反射しやすいときは、撮影の場で角度を調整します。気になる点は、その場で相談してください。小物は、身につけ慣れたものを一つ添える程度で十分です。趣味の道具を添えたい方は、遺影に趣味の道具を|小物で残す「その人らしさ」も参考にしてください。
サイズとデータの残し方のめやす
意外に思うかもしれませんが、遺影のサイズにも厳密な決まりはありません。ただ、一般的によく使われる大きさはあります。飾る場所ごとのめやすを表にまとめます。
| 主な用途 | よく使われるサイズ | 大きさのめやす |
|---|---|---|
| 祭壇・式場用 | 四つ切り | 約254×305mm |
| 祭壇・式場用(やや小さめ) | A4 | 約210×297mm |
| 焼香台・手元用 | 2L判 | 約127×178mm |
| 自宅に飾る用 | L判 | 約89×127mm |
一般的には、式場用の大きめの1枚と、手元用の小さめの1枚を用意するとされています。ただし、式場や地域の慣習によって異なることがあります。実際に必要になったときは、葬儀社や式場に確認すると確実です。
もう一つ大切なのが、データの残し方です。プリントだけでなく、画像データ(JPEGなどの写真ファイル)も受け取っておきましょう。データがあれば、あとから大きさを変えて焼き増しできます。保存場所は、ご家族に伝わるようにしておくと安心です。エンディングノートに書いておく方法は、エンディングノートの書き方|最初の1ページに書く3つのことで紹介しています。
撮る前に決めておくと安心な3つ
最後に、撮影前に決めておくと迷わない点をまとめます。無理のない範囲で構いません。
| 決めること | めやす |
|---|---|
| 服装 | 顔まわりが明るい、無地に近い、着慣れた一着 |
| 表情 | 自然な笑顔。かしこまりすぎない |
| データの残し方 | プリントとあわせて画像データももらい、保存場所を家族に伝える |
ここまで決められたら、あとは写真館におまかせで大丈夫です。生前撮影のプランを用意している写真館もあります。あわてなくて大丈夫です。
よくある質問
Q1. 遺影写真の服装に決まりはありますか?
決まりはありません。以前は礼服が定番でしたが、今は普段の服やお気に入りの一着を選ぶ方が増えています。顔まわりが明るく見える、無地に近い、着慣れた服がおすすめです。
Q2. 遺影写真のサイズはどれくらいですか?
一般的には、祭壇・式場用に四つ切り(約254×305mm)、手元用にL判や2L判が使われるとされています。厳密な決まりはなく、式場によっても異なるため、必要になったときに葬儀社へ確認すると確実です。
Q3. スマホで撮った写真でも遺影にできますか?
できます。ただし、大きく引き伸ばすため、顔にピントが合っていて明るく写っていることが大切です。心配な場合は、元気なうちに写真館などで撮っておくと、仕上がりの面でも安心です。
チェックリスト
今日のふりかえりです。
| □ 顔まわりが明るく見える、着慣れた服を選べたか |
| □ かしこまりすぎない、自然な表情をイメージできたか |
| □ プリントだけでなく画像データももらい、保存場所を家族に伝える予定にしたか |
あわせて読みたい:遺影の生前撮影とは?元気なうちに撮る3つの理由/エンディングノートの書き方|最初の1ページに書く3つのこと
参考:一般的な写真撮影の実務にもとづく情報(葬儀の慣習に関する箇所は一般的なめやすです)


