実家の親に終活を切り出す言い方の実例5つ

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実家の親に終活(人生の終わりに向けた準備)を切り出す言い方が分からず、悩んでいませんか。この記事では、お盆の帰省など自然なタイミングで使える、親への終活の切り出し方を実例5つで紹介します。あわせて、避けたい言い方の言い換え、話せたあとに確認しておきたいことまでまとめました。今からで大丈夫です。少しずつ始めましょう。

なぜ「今」話しておくとよいのか

実家の親に終活を切り出す言い方の実例5つのイメージイラスト
イメージ(AI生成)

理由はひとつです。本人の希望は、本人が元気なうちにしか確認できないからです。内閣府の高齢社会白書には、認知症と軽度認知障害(MCI=認知症の一歩手前とされる状態)の人数の推計が載っています。

区分 令和4年(推計) 令和22年=2040年(推計)
認知症のある高齢者 443.2万人(有病率12.3%) 584.2万人(有病率14.9%)
軽度認知障害(MCI) 558.5万人(有病率15.5%) 612.8万人(有病率15.6%)

内閣府「令和7年版高齢社会白書」の推計値。令和7年以降も性年齢階級別の有病率が一定と仮定した場合の数値です。

数字を見て不安になる必要はありません。判断力がしっかりしているうちなら、本人の希望をそのまま聞けます。それが「今」話す理由です。

切り出す前に決めておく3つのこと

いきなり本題に入ると、たいてい失敗します。話す前に、次の3つだけ自分の中で決めておきましょう。ここだけ押さえておけば大丈夫です。

決めること 目安 ひとこと
今日のゴール 1つだけ 「話題に出せたらOK」で十分。結論まで持っていかない
話す時間 10分程度 長く話すほど「説得された」と感じられやすい
場所と雰囲気 台所・車の中など 正面から向き合うより、横並びのほうが話しやすい

「終活の話をしよう」と身構えると、かえって切り出しにくくなります。雑談の延長で、軽い話題として始めるのがコツです。相手の答えを急かさないでください。

実家の親に終活を切り出す言い方、実例5つ

実例1:自分の終活の話から始める
「私も最近、自分のエンディングノート(もしものときの希望を書いておくノート)を書き始めたんだ」と、まず自分の話として切り出す方法です。親を主語にしないことで、身構えさせずに話題を共有できます。書き方はエンディングノートの書き方|最初の1ページに書く3つのことにまとめています。

実例2:スマホや写真の心配から入る
「もし何かあったとき、このスマホの中の写真とか、どうしたらいい?」と、身近な物の話から入る方法です。デジタル終活(スマホやパソコンの中のデータの整理)は、財産や葬儀の話より軽い気持ちで聞きやすいテーマです。スマホの写真、死後はどうなる?消えないための備え3つもあわせてどうぞ。

実例3:ニュースや知人の話をきっかけにする
「〇〇さんのところ、相続の手続きが大変だったらしいよ」と、身近な人の実例を話のきっかけにする方法です。他人事として話し始めると、自分事として受け止めてもらいやすくなります。

実例4:「一緒に」を強調する
「私も一緒に自分の分を整理するから、お母さんもよかったら」と、親だけに準備をさせるのではなく、一緒に取り組む姿勢を伝える方法です。

実例5:「元気なうちに」を前向きな言葉にする
「元気な今だからこそ、自分の希望をゆっくり考えられるよね」と、今だからこそできる前向きな準備として伝える方法です。

向いている場面は、少しずつ違います。

実例 向いている相手・場面 気をつけたいこと
1 自分の話から 終活の話をいやがる親 自分の話が長くなりすぎない
2 スマホ・写真から スマホをよく使う親 パスワードをその場で聞き出さない
3 知人の話から 世間話が好きな親 実名や噂話にしない
4 「一緒に」 遠慮しがちな親 言うだけでなく自分も本当にやる
5 「元気なうちに」 体調に自信のある親 「まだ元気なのに」と受け取られない言い方に

どれか1つで十分です。全部を一度に試す必要はありません。

タイミング別・切り出しやすさの早見表

同じ言葉でも、いつ言うかで受け取られ方が変わります。

タイミング 切り出しやすさ おすすめの入り方
お盆・年末年始の帰省 実例3・実例5。家族がそろっていて自然
ふだんの電話 実例1。短く話して次回に続ける
親の入院・通院のあと 体調が落ち着いてから。当日は避ける
親戚の葬儀の直後 気持ちが動いている時期。少し間を置く
スマホの操作を頼まれたとき 実例2。流れが自然でいちばん入りやすい

お盆の帰省は好機です。準備の仕方はお盆の帰省で親と終活の話をする準備とコツにまとめました。

避けたい言い方と、言い換えの例

ここ、迷いやすいところです。悪気のない一言が、話を止めてしまうことがあります。

避けたい言い方 言い換えの例
「もしものときはどうするの」 「これから先のこと、どう考えてる?」
「亡くなったら誰が家を継ぐの」 「この家のこと、いつか一緒に整理したいな」
「早くやっておいてよ」 「急がなくていいから、いつか教えてね」
「認知症になったら困るでしょ」 「元気な今のうちに聞いておきたいんだ」
「ちゃんと決めてくれないと迷惑」 「私が困らないように、少しだけ教えて」

片付けを入り口にしたいときは、実家の片付けの切り出し方|NGな言い方と順番も参考になります。

話せたら、まず確認しておきたいこと

会話が続いたら、次の4つだけメモしておくと、あとがぐっと楽になります。1回の帰省で1つずつで大丈夫です。

確認すること 聞き方の例 メモする内容
通帳・印鑑の場所 「何かあったとき、通帳はどこを見ればいい?」 置き場所だけ(金額は聞かない)
実家の名義 「この家の名義って、お父さんのまま?」 名義人・登記した時期
加入している保険 「保険って、どこのに入ってるの?」 会社名と証券の保管場所
スマホのロック解除 「スマホが開けなくなったら困る?」 解除方法の有無(暗証番号は書き残さない)

暗証番号やパスワードそのものを紙に控えるのは避けてください。「どこに保管してあるか」まで分かれば十分です。

実家の名義には期限のある手続きもあります

実家の名義の話が出たときのために、期限のある登記の手続きも押さえておきましょう。一般的には、期限を過ぎると過料(行政上のペナルティ。刑事罰ではありません)の対象になる場合があるとされています。

手続き 期限 過料の上限
相続登記(令和6年4月1日から義務化) 所有権の取得を知った日から3年以内 10万円以下
義務化前に発生していた相続の相続登記 令和9年(2027年)3月31日まで 10万円以下
住所等変更登記(令和8年4月1日から義務化) 変更の日から2年以内 5万円以下
義務化前に住所等が変わっていた場合 令和10年(2028年)3月31日まで 5万円以下

法務省「相続登記の申請義務化について」「住所等変更登記の義務化について」より。

遺産分割の話し合いがまとまらないこともあります。そのときは「相続人申告登記」という簡易な手続きもあります。3年以内にこれを行えば、相続登記の申請義務を果たしたものとみなされる仕組みです。あわてなくて大丈夫です。ただし個別のケースで期限や必要書類は変わります。具体的な手続きは司法書士や法務局にご相談ください。住所変更登記の詳細は住所変更登記の義務化はいつまで?2026年4月開始の新ルールにまとめています。

よくある質問

Q. 親が「まだ早い」と言って話に乗ってくれません。
いったん引くのがおすすめです。1回で終わらせようとせず、次の帰省でまた1つだけ話す。この繰り返しが結局いちばん早い道になります。

Q. 兄弟姉妹がいる場合、誰が切り出すとよいですか。
ふだん親と会話が多い人が向いています。ただし、話した内容はきょうだいにも共有しておきましょう。あとから「聞いていない」となるのを防げます。

Q. 電話やビデオ通話でも切り出せますか。
できます。ただし短くまとめてください。顔が見えない分、長く話すと詰められている印象になりやすいためです。

Q. パスワードは今のうちに聞いておくべきですか。
番号そのものを聞き出すのは避けたほうが安心です。「どこにしまってあるか」「解除の方法があるか」まで共有できていれば、いざというときに困りにくくなります。

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今日からできる3つのこと

1. まずは自分自身のエンディングノートを1ページだけ書いてみる。

2. 実家に帰ったとき、実例のどれか1つだけ試してみる。

3. 話せたら「今日はここまで」で終わりにし、続きは次の帰省に持ち越す。

参考:内閣府「令和7年版高齢社会白書」

参考:法務省「相続登記の申請義務化について」/「住所等変更登記の義務化について」