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自筆証書遺言の書き方には、自分で書くからこそ気をつけたい点がいくつかあります。せっかく書いても、要件を満たしていないと無効になってしまうことがあるからです。この記事では、2026年10月時点の法務省・法務局の案内をもとに、書き方の基本と間違えやすい点をやさしく整理します。
自筆証書遺言とは?公正証書遺言との違い
自筆証書遺言は、専門家の手を借りずに自分で書いて作る遺言書です。費用がかからず、いつでも書き直せる手軽さがあります。一方で、書き方のルールを守れていないと無効になるリスクもあります。
もう一つの代表的な形式が、公証人が作成する公正証書遺言です。費用や手間はかかりますが、形式面での無効リスクは小さくなります。くわしい流れは、以前の記事〈公正証書遺言はオンラインで作れる?流れと注意点〉で紹介しています。どちらを選ぶかは、費用や家族関係によって変わります。一般的には、迷ったときは専門家に相談しながら決めるとよいとされています。
自筆証書遺言の書き方|自書と押印が必要な3つの項目
自筆証書遺言の書き方の基本は、法務省の資料にまとめられています。「遺言書の全文、遺言の作成日付、遺言者氏名を、遺言者が自書し、押印します。」とされており、パソコンでの作成や代筆は原則として認められません。
押印は認印でも大丈夫です。「押印は認印でも問題ありませんが、スタンプ印は避けてください。」との案内もあります。これは民法968条の自書・押印の要件にもとづくものです。書き方に不安がある場合は、司法書士や弁護士など専門家に確認すると安心です。
| 項目 | 自筆証書遺言のルール |
| 本文 | 全文を自分で書く(自書) |
| 日付 | 年月日を具体的に書く |
| 押印 | 認印でも可。スタンプ印は避ける |
| 財産目録 | パソコン作成・資料添付も可。全ページに署名押印 |
| 訂正 | 変更した場所を示す・変更した旨の付記・署名・押印が必要 |
参考:法務省民事局「自筆証書遺言書保管制度のご案内」/法務省「自筆証書遺言に関するルールが変わります。」
日付の書き方で気をつけること|「○年○月吉日」はNG
日付の書き方にも注意が必要です。法務省の案内では、「○年○月吉日」などの記載は不可とされています。具体的な日付が特定できないためです。年月日をはっきり書かないと、遺言書として認められないことがあります。
スタンプ式の日付印を使う場合も、年月日が正しく入っているかを確認しましょう。ここだけ押さえておけば、日付でつまずくことはなくなります。制度の細かい解釈に迷うときは、一般的には法務局の窓口や専門家に確認するのが安心です。
財産目録の書き方|パソコン作成でもよい範囲
財産目録の書き方だけは、少し扱いが違います。法務省の資料では「財産目録は、自書でなく、パソコンを利用したり、通帳のコピー等の資料を添付する方法で作成することができますが、その場合は、その目録のすべてのページに署名押印が必要です。」とされています。
本文は自書が必要でも、目録部分はパソコンで作ってよいということです。ただし署名だけは自分の手で書く必要があります。目録の対象になる財産の範囲や書き方に迷う場合は、司法書士など専門家に相談すると確実です。
書き間違えたときの訂正の書き方
書いている途中で間違えることもあります。訂正にもルールがあり、ただ線を引いて消すだけでは認められないことがあります。
法務省民事局の案内では「書き間違った場合の削除や、内容を書き足したときの追加(挿入)などの変更は、その場所が分かるように示した上で、変更した旨を付記して署名し、変更した箇所に押印します。」とされています。書き直す範囲が大きいときは、最初から書き直したほうが確実です。手順に不安があれば、司法書士などの専門家に相談しておくと安心です。
書いたあとの保管方法|自宅保管と法務局の保管制度の違い
書き終えた自筆証書遺言は、自宅で保管することもできます。手軽ですが、紛失や改ざん、見つからないまま相続が進んでしまうリスクもあります。
法務局の自筆証書遺言書保管制度を使うと、こうした心配を減らせます。保管制度を使った場合は「法務局で保管された自筆証書遺言書は,家庭裁判所での検認手続が不要です。」とされ、家族の手続きがスムーズになります。保管制度の詳しい手続きは、以前の記事〈遺言書の法務局保管制度とは?費用と手続きをやさしく〉で紹介しています。どちらを選ぶか迷う場合は、一般的には司法書士や弁護士などの専門家に相談しながら決めるとよいとされています。
| 比較項目 | 自宅保管 | 法務局の保管制度 |
| 費用 | かからない | 保管の申請1件3,900円 |
| 家庭裁判所の検認 | 必要 | 不要 |
| 紛失・改ざんのリスク | ある | 低い |
| 保管できる用紙の形式 | 決まりなし | A4サイズ・片面など規格あり |
参考:甲府地方法務局「自筆証書遺言書保管制度の利用をお考えの方へ」
法務局の保管制度を使う場合の手数料と用紙の規格
法務局の保管制度を利用するときは、手数料がかかります。法務省の案内では、保管の申請は「一件につき,3900円」とされています。閲覧や証明書の発行には、別の手数料がかかる場合があります。
用紙にも決まりがあります。法務省の案内では用紙は「A4サイズ」で、「片面のみに記載してください。」とされています。複数ページでも「複数ページある場合でも、ホチキス等で綴じないでください。」と案内されています。余白も「必ず、最低限、上部5ミリメートル、下部10ミリメートル、左20ミリメートル、右5ミリメートルの余白をそれぞれ確保してください。」と決められています。各ページにページ番号を書くことも必要です。手数料や規格は変わることがあります。申請前に法務局の窓口で確認し、不安があれば司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
参考:法務省「自筆証書遺言書保管制度の手数料一覧・遺言書保管所一覧・遺言書保管所管轄一覧」/法務省「遺言書の様式等についての注意事項」
よくある質問
Q. 自筆証書遺言はパソコンで作ってもいい? A. 本文は自分の手で書く必要があります。パソコンで作れるのは財産目録の部分だけで、その場合も全ページに署名押印が必要です。
Q. 書いた遺言書は誰かに預けたほうがいい? A. 自宅保管でも有効ですが、紛失や見つからないリスクがあります。法務局の保管制度を使うと家庭裁判所の検認も不要になり、家族の手続きがスムーズになります。
Q. 書き方に自信がないときはどうすればいい? A. 要件を満たしているか不安な場合は、司法書士や弁護士などの専門家に確認してもらうと安心です。公正証書遺言という選択肢もあります。
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まとめ
自筆証書遺言の書き方は、自書・日付・押印・財産目録・訂正の5つがポイントです。法務省や法務局の案内どおりに書けば、無効になるリスクを減らせます。書き終えたら、自宅保管と法務局の保管制度のどちらにするかも考えておきましょう。個別の判断は、一般的には司法書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
| 最後に確認したい3つのこと | 確認のしかた |
| 自書・日付・押印がそろっているか | 書いたあとに1つずつ読み直して確認する |
| 財産目録の全ページに署名押印したか | パソコンで作った場合は特に忘れやすいので見直す |
| 自宅保管か法務局の保管制度か決めたか | 迷う場合は法務局の窓口や専門家に相談する |
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